- 「相続の方法ってどんなものがあるの?」と悩んでいる人
- 相続放棄・限定承認・単純承認の違いについて知りたい人
- 相続の基本的なことを知りたい人
「相続の種類ってどんなものがあるの?」と思っていませんか?相続種類の基本について解説させて頂きます。
相続の方法には大きく以下の3つのパターンがあります。
種類 | 内容 |
---|---|
相続放棄 | 相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない |
限定承認 | 被相続人の債務がどの程度あるか不明であり、財産が残る可能性もある場合等に、相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ |
単純承認 | 相続人が被相続人(亡くなった方)の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐ |
この記事では、これら3つの方法について解説します。この記事を読んで頂ければ、相続の種類についての基本的な知識が身に付きます。
相続財産について知りたい方は以下の記事をお読みください。
相続の方法って何があるの?相続方法の基本知識
相続の3つのパターン
相続の方法については、まず3カ月というのがひとつの目安になります。相続人は、相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に「相続放棄」「限定承認」を選択をしなければなりません。何もしなければ自動的に、「単純承認」となります。なお、この3カ月の期間を「熟慮期間」と言います。民法の規定は以下のようになります。
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
基本的にはこの3カ月の熟考期間内に、相続人は「相続放棄」「限定承認」を選択します。(ただし、この3カ月は3家庭裁判所の判断で延長することもできます)そして、この3か月間になんのアクションも起こさなければ「単純承認」という方法を選択することになります。
ただし、この熟慮期間内に相続人が相続財産の状況を調査しても、単純承認、限定承認、相続放棄のいずれも決定できない場合には、家庭裁判所へ申立てをすることにより、この3か月の熟慮期間を延長することができます。詳しくは以下のリンクを参考にしてください。
なお、「相続の始まったことを知った日」というのも実は様々な考え方があります。一般的には「相続人が亡くなった日」ですが、「死亡の通知を受けた日」ということも考えられます。「いつ、相続が始まったことを知ったのか」については「相続人によって意見の分かれる場合もあり得るので、しっかりと話し合っておくことも実は大切な相続業務の第一歩です。
以下、「相続放棄」「限定承認」「単純承認」をひとつずつ詳しく見ていきます。
相続方法:①相続放棄
相続放棄とは、文字通り一切の相続を放棄することです。この相続放棄を選択すると相続人でなかったことになり、その子や孫などが代襲相続することもできなくなります。相続放棄は、マイナスの財産しかない場合、または、プラスとマイナスの財産を差し引きして膨大なマイナスの負債がある場合などに選択されることが多いです。
ちなみに、被相続人が遺言書を残していても、遺言書を残していなくても、基本的には相続放棄はすることが出来ます。遺言の方式を問わずすることが出来るので、もちろん公正証書遺言であっても相続放棄は可能です。
相続放棄は、自身が相続人であると知った時から3カ月以内にしなければなりません。相続放棄をすると決めた場合には、速やかに手続きをされることをお勧めします。
相続放棄は、相続人全員ではなく、ひとり(個人)の意思決定で家庭裁判所へ届出ができます。手続きは相続が始まったことを知った日から3か月以内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ被相続人の住民票除票又は戸籍附票などと、相続放棄の申述書を提出します。なお、申述書は成人・未成年の2種類あります。いかに、裁判所の書式や記入例のリンクを貼っておきます。
また、詳しい、相続放棄の要件などについては、以下のリンクを参考にしてください。
申請により相続放棄が認められれば、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が送られてきます。通知書によって、相続放棄を行った相続人は、被相続人の相続に関しては一切の権利・義務が無くなります。
相続方法:②限定承認
限定承認とは、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐことを前提に相続を進める方法です。マイナスの財産が多かった場合は超過分を支払う必要がないので、負債がどのくらいあるのか分からない場合に選択されることが多いです。
限定承認の手続きは、相続が始まったことを知った日から3か月以内に、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申請をします。次に挙げた限定承認の申述書のほか、故人の出生から死亡時までのすべての戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本などが必要です。詳しい、書式などについては以下のリンクを参考にして下さい。
また、詳しい、相続放棄の要件などについては、以下のリンクを参考にしてください。
相続放棄も限定承認も、相続開始があったことを知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所へ申述するのは同じですが、以下の様な違いがあります。
- 相続放棄は相続人1人で行える
- (相続人が一人しかいない場合を除いて)限定承認は相続人全員で家庭裁判所へ申述しなければならない
1人で行える相続放棄と違い、限定承認は相続人全員が合意して共同で行う必要があるので注意が必要です。
相続方法:③単純承認
単純承認とは、被相続人の相続財産をそっくりそのまますべて受け継いでしまうことです。相続財産がプラスの場合は問題がありませんが、、マイナスの財産がプラスの財産を上回った場合は、相続の結果相続人が負債を抱えてしまう危険性もあります。その様な事態が想定される場合は速やかに、相続放棄や限定承認の手続きを行ってください。
そして、もう一つ大きな注意点として、単純承認は基本的に3カ月の熟考期間に何も行わなければ自動的に選択したものと見なされます。しかし、熟考期間に相続放棄や限定承認を選択したくても、ある特定の行動を行うと客観的に単純承認を選択したとみなされる場合があります。この様な場合を法定単純相続といいます。つまり、相続放棄や限定承認が出来ずに、法的(自動的)に単純承認とみなされます。以下、その様に見なされるパターンを挙げます。
- 一般的:3カ月の熟慮期間内に何も行わなかった場合
-
熟慮期間とは、相続開始を知った時から3か月の期間を指します。この間に、何ら手続きをしないままにこの熟慮期間が経過すると自動的に単純承認を選んだとされ法定単純承認が成立してしまいます。こちらは一般的なパターンです。
- 注意①:相続財産の全部または一部を処分した場合
-
相続財産の全部または一部を処分するなどした場合、他の人(第三者)はその相続人の行動によって、その相続人がもう相続放棄を行わないであろうと推測することになります。「相続人の処分行為=単純承認の選択」を信じた第三者保護の観点から、相続財産の処分行為は単純承認が成立するとされています。
※処分とは:一般的にも相続財産を売却したり、贈与したりすることが処分に該当します。その他にも、相続財産に属する家屋の取り壊しや交換美術品の損壊なども処分に該当すると考えられます。
- 注意②:不動産の名義変更を行った場合
-
家や土地などの不動産を被相続人から相続人の名義へ変更した場合(特に相続による所有権の移転登記を行うといった場合)は、その不動産(相続財産)についての権利を行使したとみなされます。実際にその不動産に居住しているといった外から見た場合の変化が無かったとしても、名義変更によって単純承認が成立すると考えられます。
- 注意③:相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき
-
本来、相続放棄や限定承認は被相続人のマイナス分の負債から、相続人を守るための仕組みです。相続人が意図的に相続財産の隠匿や、隠れて行う消費行為を行った場合は、債権者などがいる場合は、その人たちの信頼を裏切る背信行為です。そのため、そのような行為を行った相続人は相続放棄や限定承認などによる保護の対象にならず、相続方法の手続き後であっても法定単純承認が成立することとなります。
まずは無料相談へ
ハナハ行政書士・社会福祉士事務所では初回相談(1~2時間)は相談が無料となっております。対面・電話・Zoomによるオンライン面談など、相談者様のご希望に合わせた相談が可能です。また、提携先の司法書士・税理士・土地家屋調査士と協同で手続きを行うことでワンストップでのサポートを行います。下記のボタンより、お気軽にお問合せ下さい。
コメント